令和6年度施政方針

令和6年度施政方針市長写真

令和6年3月市議会定例会での施政方針

おはようございます。本日は、令和6年第2回八女市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼を申し上げます。

本定例会は、市政運営の基本となる令和6年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件について審議をお願いするものであります。従いまして、その冒頭で私の令和6年度における市政運営の方針について説明申し上げ、市議会の皆様及び市民の皆様にご理解とご協力をお願いする次第でございます。

まず初めに、1月1日に発生いたしました「令和6年能登半島地震」は、石川県を中心に甚大な被害をもたらし、現在も被災された多くの方々が避難所での生活を余儀なくされています。

犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。市といたしましては、1月臨時議会においてご承認いただきました1千万円の義援金を日本赤十字社を通じて被災された方々にお贈りいたしました。また、本庁、各支所に募金箱を設置し、広く市民の皆様に義援金のご協力をお願いしているところでございます。

今後も、関係機関と連携、協議を行いながら、必要な支援について検討してまいりたいと考えております。

近年は、国内外のいたる地域で自然災害が発生し、一瞬にしてかけがえのない命と平穏な日常生活が奪われております。

いつどこで発生するかわからない自然災害の脅威に対して、日頃から関係機関との連携を図りながら、定期的な訓練の実施、災害時の市民の生活環境の維持のため必要な備蓄品の確保など、市民の皆様への防災意識の高揚に努めるとともに、常に危機感をもって日々の業務を遂行していく所存でございます。

また、長期化するロシアのウクライナ侵攻を背景とした国際的な原材料価格の高騰や円安の影響等により、電気、ガスなどのエネルギー価格の高騰及び食料品価格等の高騰は、現在も市民生活や地域経済に深刻な影響を及ぼしています。

本市では、これまで国県の支援策に加えて、様々な分野において市独自の支援策を講じてまいりました。今後も引き続き、市民の皆様の目線に立ち、市民の皆様に寄り添った、生活を守る施策、地域の賑わいの回復と地域経済が潤う施策にスピード感をもって取り組んでまいります。

一方で、私たちの日常生活を一変させた新型コロナウイルス感染症につきましては、昨年5月に感染症法上の位置づけが「5類」に移行したことを契機に、コロナ禍前と同様のイベント、地域の祭りや伝統芸能などが行われるようになり、地域の賑わいと地域経済の活性化が回復してきたことを実感しております。

これまでの、市民お一人お一人及び事業者の皆様の感染予防対策へのご協力とワクチン接種など、医師会をはじめとする医療従事者等の献身的なご努力に対し、心より感謝を申し上げます。

さて、令和6年度は、「第5次八女市総合計画」の4年目となります。目指す将来都市像「ふるさとの恵みと誇りを未来につなぐ 安心と成長のまち 八女」の実現と市制施行70周年及び合併15周年記念事業の実施に向け、これまで取り組んできた事業の評価検証を十分踏まえ、各種の施策を着実に推進してまいります。

それでは、これから本計画に掲げる8つの基本政策に基づき、新年度に実施する重点施策の具体的な取り組みについて述べさせていただきます。

まず、政策1つ目の「賑わいと利便性のある基盤づくり」についてでございます。地域の特性を活かし、安心して暮らせる賑わいのあるまちづくりを進めるため、「都市計画マスタープラン」及び「立地適正化計画」に基づき、中心拠点、地域拠点の連携による魅力ある土地利用の形成を進めてまいります。道路整備については、主要幹線道路として国道3号バイパス整備促進をはじめ、国県と連携した国県道整備の推進とあわせて、市内道路の整備にも取り組んでまいります。公共交通対策については、「八女市地域公共交通計画」に基づき、地域の特性に応じた交通施策の推進に取り組んでまいります。新規事業として、市内路線バス減便に対する路線バスの代替運行を実施いたします。移住・定住対策については、人口減少対策として、引き続き、マイホーム取得支援事業補助金をはじめとする様々な支援事業や多様なニーズに対応する相談体制の充実を図るとともに、空き家等の有効利用などの情報発信に努め、移住・定住の促進に取り組んでまいります。

次に、2つ目の「強靭で安全な環境づくり」でございます。近年、集中豪雨や地震が頻発しており、災害に強いまちづくりのための防災・減災対策は極めて重要な施策であると認識しております。本市におきましても、昨年7月の豪雨災害により、上陽町を中心として甚大な被害が発生しました。現在も復旧工事に伴い市民の皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、引き続き、国県と連携を図りながら1日も早い復旧に向け事業を推進してまいります。また、消防団、自主防災組織の活動推進及び防災士の育成など、地域の防災力を高める取り組みを進めてまいります。新規事業として、消防団員及び団員を支える家族に対するギフト券の配布や防災士連絡会の活動支援を目的として、ボランティア保険料などに対する支援を行います。さらに、災害用トイレトレーラーと大型浄水器などの災害備蓄品の整備により、災害に対する備えを充実させます。防災拠点の機能強化、市民サービスの向上を目指して取り組んでいる新庁舎建設は、令和6年5月の供用開始並びに外構工事等を含む令和6年度内の事業完了に向けて引き続き、取り組みを進めてまいります。

次に、3つ目の「美しいふるさとづくり」でございます。地球環境や自然環境に負荷をかけない持続可能な社会を形成するため、ごみの減量や分別及びリサイクル等の推進を図りながら、循環型社会の形成に取り組んでまいります。生活排水環境を整える施策として、計画的な下水道の整備、合併処理浄化槽の普及促進に積極的に取り組んでまいります。地球温暖化対策については、「八女市地域エネルギービジョン」に基づき、市民・事業者・行政の連携・協働による再生可能エネルギーの有効活用等に取り組みながら、脱炭素社会の実現を推進してまいります。

また、美しい景観形成や町並み環境整備の取り組みとしては、NPO法人等との連携により八女福島地区及び黒木地区の伝統的建造物群保存修理事業を進めてまいります。

次に、4つ目の「活力ある産業づくり」でございます。本市の基幹産業である農林水産業については、重点的に各種施策の推進を図っていくことが重要であります。国県の補助事業等の活用と併せ、市独自の支援事業により生産性や収益性の高い農業経営の実現を目指すとともに、喫緊の課題である担い手農家の減少や高齢化に対応すべく、新規就農者など次世代を担う多様な担い手の育成・確保に取り組んでまいります。また、荒廃農地対策については、農地の集積・集約化の促進等による荒廃農地の発生防止・解消に向け、取り組みを進めてまいります。その他、八女茶をはじめとする主要農産物を中心に、八女ブランドとしての価値を高めるための取り組みを支援し、付加価値のある農産物生産を推進してまいります。

また、森林環境譲与税を活用した森林保全及び林業の基盤整備を推進するとともに、木材生産促進事業や有害鳥獣対策事業などの支援拡充を図り、林業経営基盤の確立及び担い手の育成に取り組んでまいります。商工業については、市内事業者の事業継続力の強化や新規創業等を支援するとともに、八女商工会議所及び八女市商工会と連携し、プレミアム商品券助成事業や地域の賑わいの回復を図るための事業への支援を行いながら、地域経済の循環及び地域経済の活性化を推進してまいります。企業誘致については、昨年12月に前古賀工業団地への企業進出が決定いたしました。今後も新たな雇用の創出を目指し、更なる企業誘致の取り組みを進めてまいります。観光振興については、べんがら村をはじめとする市内複数の観光施設を中心に、国内観光客はもとより、インバウンドをターゲットとして本市の魅力を情報発信しながら、観光客の市内回遊と滞在型観光を促進し、地域経済効果を高めてまいります。特に、令和6年度にリニューアルオープンする上陽町のほたると石橋の館においては、故郷の誇りであるダニエル・ケン・イノウエ氏に関連するミュージアム等へのリニューアルを行い、国内外から多くのお客様にお越しいただき、本市の魅力を発信するとともに、市内の子どもたちには国際交流を通じて貴重な体験ができるように取り組んでまいります。

次に、5つ目の「安心して暮らせるしくみづくり」でございます。地域福祉については、世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく「地域共生社会」の実現を目指し、重層的支援体制の推進を図り、相談支援、参加支援、地域づくり支援等に取り組んでまいります。障がい者支援については、引き続き、自立支援事業等を実施するとともに、関係機関との更なる連携による相談支援体制機能の強化を進めてまいります。高齢者支援については、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムの推進と、介護予防事業及び社会参加の機会の拡大等に努めてまいります。健康づくりについては、特定健診受診率の向上、スポーツや食生活を通じて健やかな心と体づくりなどに取り組んでまいります。なお、八女地域の医療体制の中核を担う公立八女総合病院のあり方については、中長期的な安定した財政運営、医師の確保及び高度医療設備の導入等を進め、市民の皆様が安心して医療を受けられるよう、関係自治体及び関係機関との協議を進めながら、八女地域の医療体制の強化を図ってまいります。子育て支援については、本市にとって重要な喫緊の課題であると認識しております。このため、中学生までの医療費を完全無償化にするとともに、妊産婦、子育て世帯、子どもへの一体的な相談支援を行うため、新たに「こども家庭センター」を設置し、出産後間もない産婦に対しての健康診査費用の助成や子育て世帯等へ訪問し、家事、育児などの不安、負担に対する相談支援を実施いたします。

次に、6つ目の「ふるさとを愛する人づくり」でございます。学校教育については、デジタル社会に柔軟に対応していくため、タブレット端末等を活用し、これからの時代に求められる質の高い教育を目指します。また、重要な課題である学校でのいじめ対策及び不登校児童への対応については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの更なる連携強化を図りながら、生徒や保護者に寄り添った心の健康づくりに取り組んでまいります。さらに、物価高騰の影響を受ける保護者の負担軽減を図るため、引き続き、学校給食費に対する負担軽減事業を実施いたします。新規事業としては、特別支援教育の充実を図るため新たに「特別支援教育室」を設置するとともに、中学生の英語力向上を図るため英語検定手数料の支援を行います。社会教育については、市民が主体的に学び、社会参加を促進させるとともに、生涯学習の拠点である図書館本館については、読書活動の推進や子ども達の学習スペース拡充など、市民サービスの向上を図るための整備に向けた基本設計に着手いたします。歴史文化の取り組みについては、南北朝時代等の歴史的文化遺産の保存活用、郷土出身の芸術家、文化人の作品をテーマとした事業を企画し実施してまいります。さらに、本市の宝である地域の伝統行事や伝統芸能の継承のため、後継者育成等の推進に取り組んでまいります。スポーツの振興については、各種大会や教室等の事業実施、指導者や社会体育団体の育成とあわせ、スポーツ・健康づくり都市宣言に基づく「市民ひとり1スポーツ」の推進に取り組んでまいります。

次に、7つ目の「人権を尊重した共生のまちづくり」でございます。人権施策については、社会情勢や価値観の変化に伴い、インターネットを通じた人権侵害など複雑化しており、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に向け、市民の人権意識を醸成する教育や啓発に努めてまいります。なお、人権が尊重されるまちづくりの施策を包括的に推進するため、新たに「人権・同和教育啓発センター」を設置いたします。男女共同参画の推進については、様々な分野への女性の参画拡大に努めるとともに、地域の女性の力が十分に発揮できる社会の実現に向けた取組みを進めてまいります。持続可能な地域コミュニティの育成については、活気ある持続可能なまちづくりを進めるため、行政区、まちづくり団体等との連携を強化し、団体等の自主的な活動に対する支援を行ってまいります。新規事業として、地域づくり活動が更に活性化していくよう、旧市町村ごとに各1名の集落支援員を配置いたします。

最後に、8つ目の「未来につなぐ協働のまちづくり」でございます。観光情報、子育て支援策及び移住・定住に関する情報などについて、時代の流れに即した様々な媒体を活用しながら、本市が持つ魅力を戦略的に情報発信してまいります。また、国内外の都市間交流の推進については、姉妹都市、友好交流都市及び連携協定等交流都市との活発な交流を進めることにより、互いの観光施設及び物産等に関する情報発信や子どもたちを中心とした交流事業などに積極的に取り組んでまいります。市民協働については、市民提案型事業の公募やボランティア・NPO等の団体育成を図り、市民が主役となって活躍できるまちづくりの推進に取り組んでまいります。また、効率的な行政運営を図るため、デジタル技術を活用した行政手続きのオンライン化及び地域社会のデジタル化の推進に取り組んでまいります。ふるさと支援寄附については、令和5年度は過去最高の14億円を超す寄附金となる見込みでございます。引き続き、八女の特産品や魅力体験など、返礼品の更なる充実を図りながら、市内事業者のビジネスチャンスを広げ、寄附の拡大に取り組むとともに、企業版ふるさと納税にも力を入れてまいります。

以上、第5次八女市総合計画の8つの基本政策に基づき、新年度の主な取り組みや新規事業について申し述べましたが、これらの施策を着実に実施し、将来にわたり効率的かつ効果的な行政サービスを提供できる、安定した市政運営を図っていくためには、事業の不断の見直しや新たな財源確保、公共施設の適正配置、経常経費の削減等、更なる行財政改革に取り組むことが必要です。持続的に発展する地方自治体として、次の世代に着実につなげるため、引き続き健全な財政運営に努めてまいります。

最後になりますが、平和を脅かす国際的な紛争、自然災害への対応、長期化する物価高騰など、先行きが不透明な社会情勢の中で、誰一人取り残すことのない社会の実現と、次世代を担っていく子どもたちに「ふるさと」をどのように引き継いでいくか、そのことを中長期的な視点で真剣に検討していかなければならない、重要な局面にあると考えています。

このような中、今月末には行政、防災の拠点として整備を進めてきた新庁舎棟が完成いたします。さらに令和6年度は、八女市制施行70周年及び合併15周年と、本市の新たな発展と成長に向け、飛躍すべき大きな節目の年を迎えます。私はこの節目を、国内外に向けた情報発信、シティプロモーションの絶好の機会と捉え、さらなる地域経済の活性化、移住・定住の促進、観光交流・関係人口の創出拡大に繋げ、明るい八女市の未来に向けた新たなスタートにしたいと考えています。

今後、人口減少が危惧され、高齢化、産業の振興、福祉・教育の充実や交通問題及び買い物支援など、多くの課題が山積する中で、私は市政運営を担う責任者として、市民の皆様の声に耳を傾け、市民の皆様に寄り添いながら、この素晴らしいふるさと八女をさらに発展させ未来に引き継いでいく責任があります。今やらなければならないことはもとより、中長期的な課題にも真摯に向き合いながら、本市の強みであり財産でもある人と人との絆の深さや地域コミュニティの結束力をさらに推進していきながら、10年後、20年後を見据えた持続可能なまちづくりに全力で取り組んでまいります。

以上、市政運営に対する私の基本的な考え方を申し上げました。議員各位並びに市民の皆様の市政に対するより一層のご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和6年度の施政方針といたします。

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