田崎廣助美術館に行ってみよう20

1936年、美術家の団体である二科会から分離独立し、一水会が設立され、廣助は師事していた安井曾太郎らと行動を共にします。第17回一水会展に出品されたのが、本作「秋の果物」(1955)です。横づかいのカンヴァスを横断してテーブルが配置され、大きな平皿には秋の果物がバランスよく盛られています。
モチーフは、黒の輪郭線で野太く縁どられ、色数の少ないモノトーン調の画面に引きしまった緊張感を与え、存在感ある対象として描かれています。テーブルの背景には点描の手法を用い、一見、単調になりがちな画面の構成に躍動的な印象を添えています。

「秋の果物」油彩(軽井沢田崎美術館所蔵)