田崎廣助美術館に行ってみよう13

田崎廣助は、欧州留学時代(昭和7年~昭和9年)パリを拠点に、ヨーロッパ各地を巡りました。

後年、著書の中で、『イタリアにも出かけて、ベスビアス火山あたりを3ケ月も旅行した。あの山は浅間山とそっくりな形をしている。(中略)後年私が日本の火山 ― 阿蘇、桜島、浅間などに取り組んだのは、ベスビアスがもっていない重厚さにみせられたからだ。まあ、噴煙を吐いている火山というものは世界中どこへ行っても同じようなものだが、やはりベスビアスなんかでも稜線が小作りで、日本の火山のような堂々とした重々しさに欠ける。味や詩情にも欠ける。だから私が夢中になってベスビアスに打ち込んでしまうこともなかったんだろう、と今思う。』(田崎廣助『東洋の心』西日本新聞社 1979年)とベスビアス山について語っています。

ヨーロッパを巡り西洋美に触れ、改めて日本の自然の美しさを再認識した田崎は、帰国後、模索しながらも制作に励んでいきました。

貴重な留学時代の作品をぜひ美術館でご覧ください。

ベスビアス

「ベスビアス」油彩・画布(軽井沢田崎廣助美術館所蔵)