田崎廣助美術館に行ってみよう11

日本を代表する名峰・富士山。廣助を魅了し続け代表作「朱富士」として描かれたほか、浮世絵師・葛飾北斎も「冨嶽三十六景 凱風快晴」に朝焼けの姿を印象的に表現しました。その一方で、廣助は和紙を素材に墨と水彩絵具により描いたのが本作「不二」です。輪郭を薄墨でかたどり山肌は薄茶の帯でまとめ、たなびく雲間も濃淡を生かした大胆な筆致で表現。水面に遊ぶ船頭のシーンまでも取りこんでいます。雄大さのなかにも落ち着きのある、軽妙な味わいを漂わせる一作です。

「不二」八女市所蔵

「不二」八女市所蔵