田崎廣助美術館に行ってみよう 8

この作品は、文化勲章を受章した年に制作されました。サイズは75センチメートル×73センチメートル。ほかの作品とは異なり、正方形に近い形をしています。

廣助は、「文化勲章を受章できたのは周囲の皆さんのおかげ」と、記念の風呂敷を作って関係者に配りました。

その風呂敷を作るために描かれたのが本作品。だから、キャンバスも風呂敷の形、つまり正方形なのです。

「東洋の心」を求め描き続け、画壇の最高峰に登りつめた時、日本の象徴であり、日本人の心のふるさとである富士山を、まわりの皆さんへの感謝の気持ちを込めて描いたという背景を知ると、この作品からは、画伯自身の強さとともにやさしさも伝わってくるような気がします。

2月18日からは「夢たちばな観梅会」が開催されます。
この「箱根朱富士」が、美術館入口で皆さんをお迎えしていますので、梅の花で春の訪れを感じた後に、廣助の作品ものぞいてみませんか。

箱根朱富士

「箱根朱富士」
1975年(昭和50年) (軽井沢 田崎美術館所蔵)