田崎廣助美術館に行ってみよう 3

1932年(昭和7年)5月にパリ留学に出発した田崎廣助画伯は、円暴落のため、当初4年間の留学予定を切り上げ、1934年(昭和9年)7月フランスのマルセイユ港から出航、8月神戸港に到着。およそ2年間の留学を終えて帰国しました。
画伯は留学中、西洋の文化や風土に触れて、西洋と日本の本質的な違いは何かを追究していきます。そして、ただ西洋の物真似で絵を描くのではなく、西洋画の伝統と技術を踏まえた上で、東洋・日本の自然と伝統を重んじた油絵を描くことを強く意識するようになりました。帰国後、その答えの一つとして、松を題材に絵を描き続けます。
画伯は、「松には、東洋の心を秘めた独自の深い味を持つ美がある。日本的な高雅な品位とたたずまいがある」と語っています。日本の伝統的な花鳥風月の題材として用いられる朝顔。背景には竹も描かれています。留学を終えた画伯が、「東洋の心」を自覚し完成させた作品です。

 

※現在、この作品は展示されておりません。

松と朝顔

「松と朝顔」
1941年(昭和16年) (軽井沢・田崎美術館所蔵)