広島市長からのメッセージ(8月6日平和祈念式典)

「平和祈念式典」が開催されるに当たり、メッセージをお送りいたします。

77年前、広島に投下された一発の原子爆弾は、街を一瞬で焦土にし、罪のない多くの人々に惨たらしい死をもたらしただけでなく、辛うじて生き延びた人々にも、放射線障害や健康不安、さらには生活苦など、その生涯にわたって心身に深い傷を残しました。

被爆者は「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」との願いから、自らの体験を語り、核兵器の恐ろしさや非人道性を伝えるとともに、他人を思いやる気持ちを持って、平和への願いを発信してきました。昨年1月に発効した核兵器禁止条約は、こうした被爆者の願いや行動が結実したものであり、これからは、国際社会がこの条約をより実効性の高いものにしていく努力を重ね、核兵器のない世界の実現を目指していかなくてはなりません。

しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻により、軍事力による暴挙は軍事力によって抑え込むしかないとの危険な考えが勢いを増しています。為政者の理性的な判断が大前提となる核抑止の考え方が続く限り、人類は核兵器の危険に脅え続けなければなりません。

そうならないためには、核兵器使用の結末を真に理解し、どんなに道は険しくとも核兵器を無くすことによって根本的な解決を目指す必要があります。

核兵器廃絶の道のりは決して平坦ではありませんが、市民社会の一人ひとりが核兵器はあってはならないという信念を持ち、それをしっかりと発信し続ければ、必ずや各国の為政者に核抑止政策の転換を決意させるための原動力になります。

そうした意味から、本年も皆様が、平和を願うシンボルである原爆の火が灯る「平和の塔」の下で「平和祈念式典」を開催され、核兵器廃絶と世界恒久平和を願われることは誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。

本市は引き続き、被爆の実相を「守り」、国境を越えて「広め」、次世代に「伝える」ための活動を不断に行うとともに、長崎市を始め世界中の平和首長会議の加盟都市と共に、平和への思いを共有し、あらゆる暴力を否定する「平和文化」を市民社会に根付かせていくことで、為政者の政策転換を促す環境づくりを進めていきます。

皆様には、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。

終わりに、「平和祈念式典」の御成功と御参会の皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。

令和4年8月6日 広島市長 松井一實

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