令和5年度施政方針

令和5年度施政方針市長写真

令和5年3月市議会定例会での施政方針

おはようございます。本日は、令和5年第1回八女市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼を申し上げます。

本定例会において、令和4年度補正予算及び令和5年度当初予算並びに重要な案件について審議をお願いするにあたり、私の市政運営の方針について説明申し上げ、市議会の皆様及び市民の皆様にご理解とご協力をお願いする次第でございます。まず初めに、現在直面する喫緊の課題である「新型コロナウイルス感染症対策及び物価高騰対策と地域経済の活性化」について申し上げます。

新型コロナウイルス感染症につきましては、国内で初めて感染者が確認されてから3年余りの月日が経過しました。これまで8回の大きな流行の波を経験し、社会経済活動が厳しく制限される中で、市民の皆様をはじめ関係機関との連携、協力のもと、感染拡大防止に向けた取り組みを全力で進めてまいりました。現在、ピーク時と比べ、感染状況は沈静化しているものの、依然として収束への見通しは不透明な状況が続いています。そのような中、政府は、今年5月8日から感染法上の位置付けを、現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類感染症」に変更することとし、これまでの政策や措置を見直すことを決定しました。このことは、ウィズコロナへの取り組みをさらに進めていく上で大きな一歩であります。しかし、法的な位置付けが変更されても、感染症に対する不安がなくなるわけではありません。引き続き、医療機関をはじめとする関係機関と連携して感染拡大防止を図り、市民の皆様の命と健康をしっかりと守りつつ、社会活動と地域経済の回復に向けた取り組みを進めてまいります。

また、ロシアによるウクライナ侵攻やコロナ禍等の影響により、電気、ガス、ガソリン及び食料品など、私たちの日常生活に欠かせない生活必需品の値上がりが現在も続いており、市民生活や地域経済に大きな影響を及ぼしています。本市では、コロナ禍や物価高騰の対策として、国県の支援策に加えて、八女市独自の総合的な緊急支援策を適宜打ち出し、状況に応じたきめ細やかな施策に取り組んでまいりました。今後も引き続き、市民の皆様の暮らしに寄り添う姿勢を基本とした生活を守る施策、地域の賑わいや地域経済が潤う施策にスピード感をもって取り組んでまいります。

さて、令和5年度は、「第5次八女市総合計画」の3年目であります。目指す将来都市像「ふるさとの恵みと誇りを未来につなぐ 安心と成長のまち 八女」の実現に向け、これまで実施してきた事業の評価検証をしっかりと行いながら、各種の施策を着実に推進してまいります。

それでは、これから本計画に掲げる8つの基本政策に基づき、新年度に実施する重点施策の具体的な取り組みについて述べさせていただきます。

まず、政策1つ目の「賑わいと利便性のある基盤づくり」についてでございます。地域の特性を生かしながら、安心して暮らせる賑わいのあるまちづくりを進めるため、「都市計画マスタープラン」及び「立地適正化計画」に基づき、中心拠点、地域拠点の都市機能維持向上と連携による魅力ある土地利用の形成を進めるために、令和5年度内に都市計画区域の用途地域見直しに取り組んでまいります。道路整備については、主要幹線道路として国道3号バイパス整備促進をはじめ、国県と連携した国県道整備の推進とあわせて、市内道路の整備にも取り組んでまいります。公共交通対策については、社会情勢の変化を踏まえ、公共交通の利用環境の向上や維持に向けた取組みを一体的に推進していくため、今年度策定の「八女市地域公共交通計画」に基づき、地域の特性に応じた交通施策を推進してまいります。移住・定住対策については、マイホーム取得支援事業補助金をはじめとする様々な支援事業を行うとともに、多様なライフスタイルに応じた相談体制の充実を図りながら、効果的な情報発信及び空き家等の有効利用による移住・定住の促進に取り組んでまいります。また、市営住宅の計画的な改修に取り組むとともに、安全で安定した水道水の供給を行う「豊岡地区水道整備事業」は、令和5年度の工事完了に向けて進めてまいります。

次に、2つ目の「強靭で安全な環境づくり」でございます。近年、集中豪雨や地震が頻発しており、防災・減災対策は、極めて重要であります。平成24年九州北部豪雨災害から復興した本市におきましても、令和2年7月豪雨及び令和3年8月豪雨災害により、再び市内各所で甚大な被害が発生しました。現在も復旧工事に伴う車両の通行止めなどにより、市民の皆様には大変ご迷惑をおかけしておりますが、今年度中には、一部の箇所を除き、概ね復旧工事が完了する見込みとなっております。併せて、令和4年7月及び8月の大雨災害におきましても、早期完成に向け進めているところです。今後も引き続き、国県と連携を図りながら1日も早い復旧・復興を目指して取組みを進めてまいります。併せて、自主防災組織の活動推進及び防災士の育成などによる、地域の防災力を高める取り組みも進めてまいります。さらに、新規事業として、災害発生時の情報集約を一元管理する「情報共有電子地図構築事業」を実施いたします。なお、防災拠点の機能強化、市民サービスの向上を目指して取り組んでいる新庁舎建設は、令和6年5月の供用開始に向けて事業を進めてまいります。

次に、3つ目の「美しいふるさとづくり」でございます。自然・生活環境保全の取り組みについては、ごみの減量化、リサイクルの推進に、引き続き、取り組んでまいります。また、温室効果ガスによる自然環境の保護のため、地球温暖化対策として、今年度策定の「八女市地域エネルギービジョン」に基づき、官民連携による再生可能エネルギーの有効活用など、脱炭素社会の実現に向けた取組みを進めてまいります。また、美しい景観形成や町並み環境整備の取り組みとして、NPO法人等の関係団体との連携により八女福島地区及び黒木地区の伝統的建造物群保存修理事業を進めてまいります。そのほか、生活排水環境を整えるための施策として、引き続き、計画的な下水道の整備、合併処理浄化槽の普及促進に積極的に取り組んでまいります。

次に、4つ目の「活力ある産業づくり」でございます。基幹産業である農林水産業については、国県の補助事業等の活用と併せ、市独自の支援事業により生産性や収益性の高い農業経営の実現を目指すとともに、新規就農者など次世代を担う多様な担い手の育成・確保に取り組んでまいります。また、新規事業として先端技術を活用したスマート農業の実証実験を支援する「農業先端技術研究事業」に取り組んでまいります。そのほか、茶業振興については福岡の八女茶発祥600年を記念し、八女茶を全国、そして世界に向けて情報発信し、生産振興・消費拡大を図ってまいります。また、森林環境譲与税を活用した森林保全及び林業の基盤整備を推進するとともに、竹林保全整備促進事業や有害鳥獣対策事業などの支援の拡充を図りながら、林業経営基盤の確立及び担い手の育成に取り組んでまいります。商工業については、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響を受ける市内事業者の事業継続力の強化や事業継承等を支援するとともに、商工会議所及び商工会と連携し、プレミアム商品券助成事業や地域に賑わいを呼び込むイベント等への支援を行いながら、地域経済の活性化を推進してまいります。企業誘致については、引き続き前古賀工業団地の早期完成を目指し、雇用の確保を図ってまいります。観光振興については、上陽町のほたると石橋の館改修工事を実施し、デジタル技術を活用し、ダニエル・ケン・イノウエ氏に関連するミュージアムの新設及び地元食材を提供できるカフェを設置するなど、国内観光客はもとより、インバウンドをターゲットとした魅力的な観光及び地域交流拠点施設を目指します。

次に、5つ目の「安心して暮らせるしくみづくり」でございます。地域福祉については、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる地域共生社会の実現を目指し、重層的支援体制の充実を図りながら、ひきこもり対策、生活困窮者対策等に取組んでまいります。障がい者支援については、引き続き、自立支援事業等を行うとともに、関係機関との更なる連携による相談支援体制機能の強化を進めてまいります。高齢者支援については、地域包括ケアシステムの更なる推進と併せ、介護予防事業を通じて健康寿命の延伸を図るとともに、高齢者の生きがいづくりや社会参加の機会を創出してまいります。健康づくりについては、引き続き、コロナ対策に万全を期すとともに、市民の心と体の健康づくりのため、特定健診受診率の向上、スポーツや食生活を通した健やかな心と体づくりなど、市民と行政が一体となって健康で明るいまちづくりに取組みます。子育て支援については、昨年1年間の我が国の出生数が統計上初めて80万人を割り込む見通しとなり、本市にとっても喫緊の課題であると考えております。このため、新たに出産子育て支援として10万円を支給する「やめっこ未来応援金事業」や民間の保育園の整備に対し支援いたします。そのほか、母子保健事業やファミリーサポートセンター、子ども食堂などの支援についても、引き続き取り組んでまいります。

次に、6つ目の「ふるさとを愛する人づくり」でございます。学校教育については、デジタル社会に積極的に対応していくため、タブレット端末を有効に活用しながら、これからの時代に求められる質の高い教育を目指します。また、学校でのいじめ対策及び不登校児童への対応については、関係機関との更なる連携強化を図るとともに、スクールソーシャルワーカ-などの専門職の配置を強化し、心の健康づくりに取り組んでまいります。さらに、今年度に引き続き、物価高騰下にあっても児童生徒の健やかな成長を支えるために「学校給食等に関する負担軽減事業」を継続し拡充します。一方、令和7年度に見崎中校区に開校を予定している義務教育学校の新しい特色づくりとして、全国的にも珍しい「eスポーツ部」を見崎中学校に創設し、学校を核とした地域づくりを進めてまいります。社会教育については、市民が主体的に学び、社会参加のきっかけとなる取組みを進めるとともに、生涯学習の拠点である図書館本館については、施設の老朽化や子ども達の学習スペース拡充など、市民サービスの向上を図るための基本計画の策定に取り組んでまいります。歴史文化を生かした取り組みについては、筑紫君磐井や南北朝時代等の歴史的文化遺産の保存活用、郷土出身の芸術家、文化人の作品をテーマとした事業を企画し実施してまいります。スポーツの振興については、各種大会や教室等の事業実施、指導者や社会体育団体の育成とあわせ、新たにスポーツ健康づくり教室等を開催し、市民交流の拡大を図ってまいります。

次に、7つ目の「人権を尊重した共生のまちづくり」でございます。人権施策については、社会情勢等の変化に伴い、インターネットを通じた人権侵害など複雑・多岐な課題に直面しています。このような中、同和問題をはじめとするあらゆる人権問題の解決に向け、引き続き、市民の人権意識を醸成する教育や啓発に努めてまいります。男女共同参画の推進については、様々な分野への女性の参画拡大に努めるとともに、地域の女性の力が十分に発揮できる社会の実現に向けた取組みを進めてまいります。また、DV被害者等に対して、関係機関との連携による相談体制の充実及び被害者への支援体制を強化してまいります。活力ある地域コミュニティの育成については、コロナ禍による地域コミュニティ及び人と人との絆の希薄化が懸念されておりますが、活気ある持続可能なまちづくりを進めるため、行政区、まちづくり団体等との連携を更に強化し、団体等の自主的な活動に対する支援を行ってまいります。

最後に、8つ目の「未来につなぐ協働のまちづくり」でございます。ウィズコロナを見据えた国内外の都市間交流の推進を図るとともに、福岡の八女茶発祥600年に関連するイベントや観光情報、子育て支援策及び移住・定住に関する情報などについて、時代の流れに即した様々な媒体を活用しながら、本市が持つ魅力を戦略的に情報発信してまいります。市民協働については、引き続き、市民提案型事業の公募やボランティア・NPO等の団体育成を図り、市民が主役となって活躍できるまちづくりに努めてまいります。また、効率的な行政運営を図るため、引き続き、「八女市デジタルトランスフォーメーション推進戦略」に基づき、マイナンバーカードの取得推進や、デジタル技術を活用した行政手続きのオンライン化及び地域社会のデジタル化の推進に取り組んでまいります。ふるさと支援寄附については、令和4年度は過去最高の12億円を超す寄附金を頂いております。引き続き、個人への呼びかけとあわせて、八女の特産品や魅力体験などの返礼品のさらなる充実に取り組むとともに、企業版ふるさと支援寄附の呼びかけも強化してまいります。

以上、第5次八女市総合計画の8つの基本政策に基づき、新年度の主な取り組みや新規事業について申し述べましたが、これらの施策を着実に実施し、将来にわたり効率的かつ効果的な行政サービスを提供できる、安定した市政運営を図っていくためには、事業の不断の見直しや新たな財源確保、公共施設の適正配置、経常経費の削減等、更なる行財政改革に取り組むことが必要です。持続的に発展する地方自治体として、次の世代にしっかりとつなげるため、引き続き健全な財政運営に努めてまいります。

最後になりますが、新型コロナウイルス感染症や自然災害への対応、物価高騰など、先行きが非常に不透明な社会情勢の中で、次世代にこの「ふるさと八女」をどうつないでいくか、今、重要な局面にあると考えています。このような中、令和5年度は福岡の八女茶発祥600年という記念すべき年を迎え、また行政、防災の拠点として整備を進めてきた新庁舎が完成いたします。

さらに令和6年度は、八女市制70周年及び市町村合併15周年と、本市の新たな発展と成長に向け、飛躍すべき大きな節目を迎えます。私はこの節目を、国内外に向けた情報発信、シティプロモーションの絶好の機会と捉え、さらなる地域経済の活性化、移住・定住の促進、観光交流・関係人口の創出拡大に繋げ、輝く八女市の未来に向けた新たなスタートにしたいと考えています。

現在、人口減少が進み、少子高齢化、産業の振興、福祉・教育の充実など、多くの課題が山積する中で、私は市政運営を担う責任者として、今の八女に暮らす皆様に寄り添いながら、将来の八女に住む市民の暮らしを思い描き、この素晴らしいふるさと八女をさらに発展させ未来に引き継いでいく責任があります。今やらなければならないことはもとより、中長期的な課題にも真摯に向き合い、10年、50年、100年先を見据えた持続可能なまちづくりに今後も全身全霊で取り組んでまいります。

以上、市政運営に対する私の基本的な考え方を申し上げました。議員各位並びに市民の皆様の市政に対するより一層のご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針といたします。

この記事に関するお問い合わせ先

企画政策課 広報広聴係
〒834-8585 福岡県八女市本町647番地
電話番号:0943-23-1110
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