○八女市文化財保護条例
昭和56年3月27日
条例第9号
目次
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市指定有形文化財(第4条―第18条)
第3章 市指定無形文化財(第19条―第24条)
第4章 市指定有形民俗文化財、市指定無形民俗文化財(第25条―第31条)
第5章 市指定史跡名勝天然記念物(第32条―第37条)
第6章 市選定保存技術(第38条―第42条)
第7章 補則(第43条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、同法の規定及び福岡県文化財保護条例(昭和30年福岡県条例第25号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で八女市(以下「市」という。)の区域内に存するもののうち市にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資するとともに我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、法第2条第1項第1号から第4号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財及び記念物をいう。
(財産権の尊重及び他の公益との調整)
第3条 八女市教育委員会(以下「委員会」という。)は、この条例の執行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 市指定有形文化財
(指定)
第4条 委員会は、市の区域内に存する有形文化財(法第27条第1項及び県条例第4条第1項の規定により指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものを八女市指定有形文化財(以下「有形文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による指定をするときは、あらかじめ指定しようとする有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
3 第1項の規定による指定をするときは、委員会は、あらかじめ別に定める八女市文化財専門委員会(以下「専門委員会」という。)に諮問しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに当該有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知してする。
6 第1項の規定による指定をしたときは、有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(解除)
第5条 有形文化財が有形文化財として、その価値を失った場合、その他特別の事由があるときは、委員会は、その指定を解除することができる。
3 有形文化財について法第27条第1項及び県条例第4条第1項の規定による指定があったときは、当該有形文化財の指定は解除されたものとする。
4 前項の場合には、委員会は、その旨を告示するとともに有形文化財の所有者及び権原に基づく占有者に通知しなければならない。
5 前2項の規定による通知を受けたときは、所有者は、速やかに有形文化財の指定書を委員会に返付しなければならない。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第6条 有形文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づいて定める委員会規則及び委員会の指示に従い有形文化財を管理しなければならない。
2 有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代り有形文化財の管理の責に任ずべきもの(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、有形文化財の所有者は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。
4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。
(所有者の変更等)
第7条 有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、速やかに当該有形文化財の指定書を添えて、その旨を委員会に届け出なければならない。
2 有形文化財の所有者又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。
(滅失、き損等)
第8条 有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗みとられたときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第9条 有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。ただし、委員会規則に定める場合には届出を要せず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもって足りる。
(管理又は修理の補助)
第10条 有形文化財の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合、その他特別の事情がある場合には、市は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 前項の補助金を交付する場合には、委員会は、その補助の条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理又は修理について指揮監督することができる。
(1) 管理又は修理に関し、条例、規則又は委員会規則に違反したとき。
(2) 補助金の交付を受けた目的以外に補助金を使用したとき。
(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。
(管理又は修理に関する勧告)
第12条 有形文化財の管理が適当でないため有形文化財が滅失し、き損し、又は盗みとられるおそれがあると認めるときは、委員会は、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。
2 有形文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、委員会は、所有者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。
3 前2項の規定による措置に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を市の負担とすることができる。
(現状変更等の制限)
第13条 有形文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合、その影響が軽微である場合は、この限りでない。
2 有形文化財の保護上必要があると認めるときは、委員会は、前項の規定による届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言をすることができる。
(公開)
第15条 委員会は、有形文化財の所有者に対し、6月以内の期間を限って、委員会の行う公開の用に供するため、当該有形文化財を出品することを勧告することができる。
2 委員会は、当該有形文化財の所有者に対し、3月以内の期間を限って当該有形文化財の公開を勧告することができる。
4 委員会は、第1項の規定により当該有形文化財が出品されたときは、その職員のうちから有形文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
5 委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る有形文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。
(調査)
第17条 委員会は、必要があると認めるときは、有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第18条 有形文化財の所有者が変更したときは、新所有者は、有形文化財に関し、この条例に基づいてする委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。
2 前項の場合には、旧所有者は、有形文化財の引き渡しと同時にその指定書を新所有者に引き渡さなければならない。
第3章 市指定無形文化財
(指定)
第19条 委員会は、市の区域内に存する無形文化財(法第71条第1項及び県条例第23条第1項の規定により指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものを八女市指定無形文化財(以下「無形文化財」という。)に指定することができる。
2 委員会は、前項の規定による指定をするに当たっては、無形文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、無形文化財の保持者又は保持団体(保持団体にあっては、その代表者)として認定しようとするものに通知してする。
5 委員会は、第1項の規定による指定をした後においても無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(解除)
第20条 無形文化財がその価値を失った場合、その他特別の事由があるときは、委員会は、その指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特別の事由があるときは、委員会は、その認定を解除することができる。
5 無形文化財について法第71条第1項及び県条例第23条第1項の規定による指定があったときは、当該無形文化財の指定は解除されたものとする。
6 前項の場合には、委員会は、その旨を告示するとともに、無形文化財の保持者として認定されていた者又は保持団体として認定されていた団体の代表者に通知しなければならない。
(保持者の氏名変更等)
第21条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したとき、その他委員会規則の定める事由があるときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(保存)
第22条 委員会は、無形文化財の保存のため必要があると認めるときは、無形文化財について記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置をとることができるものとし、市は、保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(公開)
第23条 委員会は、無形文化財の保持者又は保持団体に対し、無形文化財の記録の所有者に対しその記録の公開を勧告することができる。
3 市は、第1項の規定による無形文化財の記録の公開に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(保存に関する助言又は勧告)
第24条 委員会は、無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第4章 市指定有形民俗文化財、市指定無形民俗文化財
(指定)
第25条 委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項及び県条例第29条第1項の規定により指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものを八女市指定有形民俗文化財(以下「有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財(法第78条第1項及び県条例第29条第1項の規定により指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものを八女市指定無形民俗文化財(以下「無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
4 第1項の規定による無形民俗文化財の指定は、その旨を告示してする。
(解除)
第26条 有形民俗文化財又は無形民俗文化財が有形民俗文化財又は無形民俗文化財としての価値を失った場合その他特別の事由があるときは、委員会は、その指定を解除することができる。
4 第1項の規定による無形民俗文化財の指定の解除は、その旨を告示してする。
5 有形民俗文化財又は無形民俗文化財について法第78条第1項及び県条例第29条第1項の規定による指定があったときは、当該有形民俗文化財又は無形民俗文化財の指定は解除されたものとする。
7 第5項の場合の無形民俗文化財の指定の解除については、委員会は、その旨を告示しなければならない。
(現状変更)
第27条 有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。
2 有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、委員会は、前項の規定による届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。
(無形民俗文化財の保存)
第29条 委員会は、無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、無形民俗文化財について記録の作成その他その保存のため適当な措置をとることができるものとし、市は、その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(無形民俗文化財の記録の公開)
第30条 委員会は、無形民俗文化財の記録の所有者に対し、その記録の公開を勧告することができる。
(無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第31条 委員会は、無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第5章 市指定史跡名勝天然記念物
(指定)
第32条 委員会は、市の区域内に存する記念物(法第109条第1項及び県条例第37条第1項の規定により指定されたものを除く。以下同じ。)のうち市にとって重要なものを八女市指定史跡、八女市指定名勝、八女市指定天然記念物(以下「史跡名勝天然記念物」と総称する。)に指定することができる。
(解除)
第33条 史跡名勝天然記念物が、史跡名勝天然記念物としてその価値を失った場合その他特別の事由があるときは、委員会は、その指定を解除することができる。
2 史跡名勝天然記念物について法第109条第1項及び県条例第37条第1項の規定による指定があったときは、当該史跡名勝天然記念物の指定は解除されたものとする。
(標識等の設置)
第34条 史跡名勝天然記念物の所有者は、委員会規則に定める基準により、史跡名勝天然記念物の管理に必要な標識、説明板、境界標、囲さくその他の施設を設置するものとする。
(現状変更等の制限)
第36条 史跡名勝天然記念物に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については、維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合、その影響が軽微である場合は、この限りでない。
第6章 市選定保存技術
(平21条例34・追加)
(選定)
第38条 委員会は、市の区域内に存する伝統的な技術又は技能で、文化財の保存のため欠くことのできないもの(法第147条第1項又は県条例第45条第1項の規定により選定されたものを除く。以下同じ。)のうち、市として保存の措置を講ずる必要があるものを八女市選定保存技術(以下「市選定保存技術」という。)として選定することができる。
2 委員会は、前項の規定により選定をするに当たっては、市選定保存技術の保持者又は保存団体(市選定保存技術を保存することを主たる目的とする団体で代表者又は管理人の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
(平21条例34・追加)
(解除)
第39条 市選定保存技術について保存の措置を講ずる必要がなくなった場合その他特殊の理由があるときは、委員会は、その選定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められる場合、保存団体が保存団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の理由があるときは、委員会は、保持者又は保存団体の認定を解除することができる。
4 市選定保存技術について法第147条第1項又は県条例第45条第1項の規定による選定があったときは、当該市選定保存技術の選定並びに保持者及び保持団体の認定は、解除されたものとする。
(平21条例34・追加)
(平21条例34・追加)
(保存)
第41条 委員会は、市選定保存技術の保存のため必要があると認めるときは、市選定保存技術について自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置をとることができるものとし、市は、市選定保存技術の保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存に要する経費の一部を予算の範囲内で補助することができる。
(平21条例34・追加)
(保存に関する指導又は助言)
第42条 委員会は、市選定保存技術の保持者又は保存団体その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な指導又は助言をすることができる。
(平21条例34・追加)
第7章 補則
(平21条例34・旧第6章繰下)
(委員会規則への委任)
第43条 この条例の施行に関し必要な事項は、委員会規則で定める。
(平21条例34・旧第38条繰下)
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(上陽町の編入に伴う経過措置)
2 上陽町の編入の日前に、上陽町文化財保護条例(昭和57年上陽町条例第14号)の規定により上陽町が指定した文化財については、この条例の相当規定により指定したものとみなす。
(黒木町、立花町、矢部村及び星野村の編入に伴う経過措置)
3 黒木町、立花町、矢部村及び星野村の編入の日前に、黒木町文化財保護条例(平成19年黒木町条例第2号)、立花町文化財保護条例(昭和57年立花町条例第1号)、矢部村文化財保護条例(昭和52年矢部村条例第18号)又は星野村文化財保護条例(昭和39年星野村条例第30号)の規定により黒木町、立花町、矢部村及び星野村が指定した文化財については、それぞれこの条例の相当規定により指定したものとみなす。
(平21条例34・追加)
附則(平成17年3月11日条例第8号)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。
附則(平成18年6月26日条例第47号)
この条例は、平成18年10月1日から施行する。
附則(平成21年9月30日条例第34号)
この条例は、平成22年2月1日から施行する。