矢部ある記(10)矢部川

源流

(写真)川まつりの飾り(矢部村柴庵)

矢部村は「矢部川の源流」です。村内には源流公園・源流の森があります。主源流は三つあります。三国山から発している本流、御前岳・釈迦岳から湧き出す御側川、そして八女津媛神社の奥から流れ出る樅鶴川です。このほか八知山川・竹原川・田出尾川・梅地藪川・桑ノ平川・柏木川・臼ノ払川・日向神川など地域名で呼ばれる川が合流して日向神ダムに注ぎます。

プロフィール

矢部川は一級河川(維持・管理・使用の制限などを国が管理する川)です。上流はせまく岩間に瀬音響く急流ですが、河口近くは広くゆったりと流れる名川です。

村在住の詩人椎窓猛氏の詩集「山峡木契録」には、源流の「岩を噛むような激しい流れ」は、「なんと穏やかな筑後訛りの水の流れ」と詩的に表されています。

源流は、八女市内で笠原川・星野川・辺春川・白木川と合流し山ノ井川・花宗川に分流、瀬高町では沖の端川に分かれ高田町で飯江川・楠田川と合流します。川が通る市町村の人口は約18万3千人です。水源の高さ994メートル(三国山頂)、源流から河口までの長さ61キロメートル・平均水量は一分間に22トン(船小屋観測所)、流域面積620平方キロメートルで福岡ドーム4600個分になります。途中、農業用水・工業用水・発電・魚類の育成に活用され、最後は有明海に注ぎ海の幸を育みます。

この写真は川まつりの飾り(矢部村柴庵)

御鏡川と水

1620年(元和6)大阪夏の陣で功あった立花宗茂が柳川藩主に、同年有馬豊氏が久留米藩主となり、矢部川(当時は黒木川・上妻川など通る地域名で呼んだ)の中央が国境と定められました。よって「境川(境目川)」と呼ばれるようになり、漁・農・飲料など川の恵みに感謝を込め「御境川」と呼んだようです。

矢部川は度々洪水で暴れました。柳川藩の田尻惣馬が1695年立花町に築いた全長1300間(2・7キロ)の壮大な堤防は、千間土居また尊敬と労働の過酷さを込め惣馬が土居と呼ばれました。惣馬は更に、土居を守るため水流を変える水刎も作り、洪水の度に濁流が対岸久留米藩の土居にぶつかっていました。

明治の始め、京では東本願寺の改築がありました。その柱に矢部村六本松の巨大ケヤキが使われています。切り出した大木は矢部川まで運ばれ、急流地は堰をつくって水を貯め浮かせては次に流すという方法で水路京へ運ばれたといわれます。この木の枝でこしらえたという径二尺ほどのウスが、矢部村の善正寺に残っています。

明治4年、藩は久留米県と柳河県となり、同年三潴県としてひとつになったので境川と呼べなくなりました。翌年5月8日「元柳川・久留米藩の際境川と唱え来たりし川、今日より矢部川と相唱え申すべきこと 壬申五月」との通達により矢部川と統一されました。この時は福島町・岡山村などといい、八女市はありませんでした。郡にいたっては、上妻郡・下妻郡といっており、八女郡と呼ばれていません。そこで政府は八女川でなく、源流を生かして矢部川と通達したのです。

川まつり

三国山ふもとの山口という集落では、本流を大根川と呼んでいます。「むかし、女衆が大根を洗いよったら、通りがかりの貧僧が一本くれと言う。やっとの思いで育てた大根、分けてやらんじゃった。そしたら、大根洗う時期には水が枯れたげな。それから村人は川まつりばするごつなった。竹を立てしめ縄を張り、収穫した大根をぶら下げ酒を供えとった。みんな年寄って今はしよらん」とのお話。そこから2キロ下流柴庵集落の橋に、何とそのお飾りを見つけたのです。尋ねると、欲しがったのが「水神さん」というだけ異なり、後は同じでした。実施は豊作祭で11月、収穫できた感謝・命の水への畏敬が表されています。

山ノ井川が通る十丁橋や大籠などにも川まつりの飾りが見られます。目的は「子どもの水難除け・田の水の祈願・梅雨期の水害防止」などで5月に実施、しめ縄とともに麦ワラ(近年は稲ワラ)とカヤでタコを作り、ワラの角樽とさかずき・木のカツオ節などをぶら下げ龍神に供えます。地元ではまず子どもの会を終え大人の宴になるとか。一家総出のまつりで、地域づくりに効を発揮しているとのことです。

黒木城主助能の奥方と乳母たちの「剣ヶ渕」入水悲話は有名です。黒木町築地には流れ着いた遺体を温めたことから築地観音がまつられ、奥方の観音像と侍女が流れついた柳島でも、飴形屋が見つけ温めたことからほっけんぎょうが始まり今も1月17日「あめがたまつり」が行われているそうです。

(矢部村 山口 久幸)

【参考】矢部村誌、ウィキペディア
協力~矢部(栗原清・山口政子・山口喜代子)/忠見(江口米次夫妻、井本政弘)/柳島(秋山武徳)/立花(平島格)

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