矢部ある記(11)ふるさとのあゆみ

(写真)村人の心のふるさと矢部中旧校舎

八源発祥の矢部

矢部村には、かつて飯干・矢部・御側・日出・高巣と5つの小学校があり、矢部中学校で一つになりました。現在矢部小・中の2校です。飯干は日向神伝説があり国造りが、矢部校区には八女津媛がいて八女の名が、御側からは良成親王の命令が、日出には江碕済先生の塾があって教育の灯が、高巣からは鯛生の金が町へ発せられました。

加えて矢部川の源流・東方矢部から日の出・御前・釈迦付近から材木の搬出など、矢部村は八源発祥の地でもあります。奥ヤメが南北朝時代にはヤベに変化、屋部・夜部・矢部などと記されています。江戸時代、久留米藩は北矢部村・柳川藩は矢部村でした。明治21年合併して矢部村となり、以来川をはさんで北矢部・矢部と、住所に名残りをとどめています。

写真は村人の心のふるさと矢部中旧校舎

ヤメのあゆみ

日本書紀690年の記に「軍丁(いくさのよほろ)筑紫国の上陽めの郡の大伴部博麻(663年唐の捕虜となったが、わが身を売り同志を日本に返し、国の危機を救う)…」とあるそうです。国・郡の制度は701年ですが、それ以前に陽め(ヤメ)という地があり、上陽め・下陽めと二つに分かれていたことが分かります。矢部は上陽めの郡に属していました。713年好字令が発せられ、唐に習い「国名・地名を二字、できるだけ良い字で」とされました。よって倭→大和のように、上陽め・下陽めは子宝をもたらす「妻」を選び上妻・下妻となり、「ヤメ」は史上から姿を消してしまうのです。
明治22(1889)年町村制が実施、上妻郡は福島・黒木の2町と長峰・三河・上妻・川崎・忠見・岡山・八幡・光友・辺春・北山・白木・串毛・豊岡・笠原・木屋・大渕・矢部・横山・北川内・上広川・中広川・下広川・羽犬塚・二川と24の村。下妻郡は古川・下妻・水田の3村でした。明治29(1896)年郡制が出され、上妻郡・下妻郡と生葉郡星野村が合併し「八女郡」が誕生、八女津媛・陽めの「ヤメ」が1183年ぶりに復活しました。

市町村のあゆみ

旧八女市は、昭和26(1951)年福島町と長峰・三河・上妻・八幡村が合併し新「福島町」ができ、同29(1954)年には川崎・忠見・岡山の各村と合併し「八女市」となり、八女郡から離れます。八女市が誕生して60年、昨年から記念の式典や様々なイベントが行われています。


星野村は、鎌倉~戦国時代に星野氏が治め、村の名となりました。生葉郡星野村を経て、明治29年郡制が変わるとき、八女郡星野村になりました。上陽町は、北川内村・横山村から昭和28(1953)年北川内が町となり、同33(1958)年横山村と合併して上陽町ができました。大伴部博麻が上陽め出身であることに由来する町名です。平成18(2006)年には、八女市となります。

立花町は、光友・辺春・北山・白木各村が、昭和30(1955)年に合併して立花町となりました。柳川藩の立花公、あるいはミカン原木由来の町名です。黒木町は、町村制度時すでに町でした。昭和29年、笠原・木屋・串毛・豊岡の各村と合併、新しい黒木町となりました。大淵村は矢部村との統合問題があったそうで、3年後に編入します。12世紀末黒木大蔵大輔源助能公が猫尾城を築き、1584年まで代々の城主が守りました。町名は、これら黒木氏に由来します。

平成22(2010)年、八女・黒木・立花・矢部・星野が合併、歴史を持った市町村は新八女市として一つになりました。「ヤメ」復活から、114年目のことです。

学校のあゆみ
市町村で多くの人が学び遊んだ学校は、今ではこうなっています。
【星野村】星野・小野・椋谷(古塚分校も)・仁田原小が星野小学校へ。中学校は星野中学校。
【上陽町】久木原・下横山・尾久保・上横山・東山・北川内小がじょうようほくぜい学園小学校へ。中学校は横山・北川内中から上陽中、そしてじょうようほくぜい学園中学校(小中一貫校)へ。
【立花町】白木・北山・上辺春・下辺春・光友小(田形分校)が筑南・立花小学校へ。中学校は白木・北山・辺春・光友中が筑南・立花中学校になっています。
【黒木町】平野・剣持・枝折・大淵・木屋・田代・渡内・鶯西・笠原東・笠原・黒木・豊岡・串毛小が黒木小・黒木西小学校へ。中学校は大淵・笠原・黒木・豊岡各中が統合して黒木中学校になりました。
【旧八女市】川崎・忠見・長峰・福島・上妻・三河・八幡・岡山小学校は以前と同じ。中学校は川崎・忠見・福島・長峰・上妻・三河・八幡・岡山中から見崎・福島・南・西の4中学校へ集約されています。新八女市は、41あった小学校が15校に、20の中学校が10校になっています。地域の学校・旧町村名ともに、忘れてならない心のふるさとです。

矢部ある記終了。ご愛読を感謝申し上げます。

(矢部村 山口 久幸)

参考~ 矢部村誌・インターネット・八女郡史・「八女と矢部」永井正範・鶴陽会八女支会編「八女教育史 変わりゆく学校」

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