第2章 ほんしの地域福祉を取り巻く現状   第1節 社会状況の変化 1 新型コロナウイルス感染症の影響 新型コロナウイルス感染症への対策を前提とした「新しい生活様式」が定着を見せ、人々が外出や接触を控える中で、住民同士の交流の機会が減少しています。隣人のちょっとした異変や、困りごと、心配ごとに気づきにくい状況が出てきており、地域が持つ支えあう力の低下を招いています。このことは、今後の地域福祉のありかたを考えるうえで、非常に重要であると考えられます。 2 生活困窮者対策の推進 経済的に困窮する生活困窮者の自立支援を図るため、平成27年に生活困窮者自立支援法が施行され、ほんしでも相談支援業務や住居確保給付金の支給など、様々な施策をおこなっています。 生活に困窮する人の中には、しょうがいや疾病、DV、虐待、いじめ、失業など、様々な生活上の課題をふくごう的に抱えている場合が多く見られ、さらに新型コロナウイルス感染症の感染拡大も大きな影響を与えています。 したがって支援に当たっては、関係機関と連携を図りながら当事者それぞれの事情や地域の実情に応じた支援が求められます。 3 多発する災害 近年、日本各地で様々な災害が発生しています。ほんしにおいても、平成24年の九州北部豪雨や令和2年7月豪雨など大規模な災害があり、住民の中でも災害に対しては人ごとではないという意識が高まっています。 災害の発生後、緊急対応の期間を過ぎて復興への移行期に当たっては、自治体はもとより住民同士の相互の協力が非常に大切であり、まさに「自助」「互助」「共助」「こうじょ」の連携が重要になってきます。 行政や社会福祉協議会をはじめとする様々な機関や団体が、普段から住民に対して啓発をおこなっていますが、この住民の災害に対する意識の高まりを受けつつ、関連計画との整合性を図りながら、災害時の対応について効果的に計画に盛り込む必要があります。   第2節 法律改正等に伴う状況変化 1 地域共生社会の実現に向けて 平成29年2月に厚生労働省が決定した「『地域共生社会』の実現に向けて(当面の改革工程)」などにより、制度や分野ごとの『縦割り』や「支えて」「受け手」という関係を超えて、地域住民が『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に作っていく「地域共生社会」の実現が目指されることになりました。 2 「我が事・丸ごと」の地域づくり 平成30年の社会福祉法の改正は、複雑化・複合化した課題を抱える個人や世帯に対する支援や「制度の狭間」の問題など、既存の制度では解決が困難な課題の解決を図るため、地域住民による支えあいと公的な支援が連動した、包括的な支援体制の構築を目指しておこなわれました。 その中で「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念が規定され、支援を必要とする住民や世帯が抱える多様でふくごう的な地域生活課題について、住民や福祉関係者による把握や関係機関との連携などによる解決が図られることを目指す旨が明記されました。また、その実現に向けて、住民の地域福祉活動への参加促進や、関係機関が連絡調整をおこないながら、分野を超えた地域生活課題に総合的に相談に応じたり、複合化した地域生活課題を解決したりするための体制づくりなどに努めることとされました。 さらに、市町村が地域福祉計画を策定するよう努めることも、ここで定められました。 3 重層的支援体制整備事業の推進 近年、地域住民が抱える課題は複雑化・複合化しており、子ども・しょうがい・高齢・生活困窮といった分野別の支援体制では対応が困難になっています。令和3年の社会福祉法の改正により創設された重層的支援体制整備事業は、市町村全体の支援機関・地域の関係者が住民からの相談を断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに、「属性を問わない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施することを必須にしています。今後、事業を効果的に実施することができるよう、関係機関の役割の整理やネットワークの構築に向けた支援をおこないます。 4 再犯の防止等の推進に関する法律の施行 法務省が発表した令和3年の「犯罪白書」によると、令和2年に犯罪により検挙された人のうち、再犯者であった者の割合を示す「再犯者率」は49.1%でした。これは調査を開始した昭和47年以降、過去最高の数字です。 「再犯の防止等の推進に関する法律」(平成28年法律第104号)が成立し、平成28年12月14日に公布、施行されました。第8条には、「都道府県及び市町村は、再犯防止推進計画を勘案して、当該都道府県または市町村における再犯の防止等に関する施策の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない」とあります。 犯罪歴があり、福祉的な支援を必要とする人に対し、必要な保健医療・福祉サービス、住まい、就労、その他生活困窮への支援等を適切に提供し、地域での生活を可能とするための施策を総合的に推進します。   第3節 統計からみるほんしの状況 1 少子高齢化の進行 ほんしの総人口は、昭和25年に107826人を記録して以降、一貫して減少を続けています。令和4年4月1日現在の人口は61288人であり、平成12年と比較すると22年間で20.1%も減少しています。 年齢3区分人口の推移をみると、年少人口(15歳未満)が減少を続けているのに対し、老年人口(65歳以上)は増加を続けています。令和4年4月1日現在、ほんしのおよそ3人に1人が65歳以上の高齢者であり、15歳未満の人口は11.7%に留まっています。 2 出生・死亡数、転入・転出数の動き 出生数と死亡数においては、年度によって微増微減があるものの大きな変化はありません。しかし、出生数に対し、死亡数が倍以上の状態が継続しているので、今後も人口減少が続くと見込まれます。 転入数と転出数はともに、おおむね減少傾向にありますが、令和2年度に転出数が大幅に減少したことで、令和3年度には転入が転出を上回り、「社会減」の状態から「社会増」に転じています。 この要因の一つとして、新型コロナウイルス感染症が考えられます。「国土交通白書2021」によると、コロナ禍前と現在の二地域居住・地方移住に対する関心の有無を尋ねたところ、関心のある人の割合は、コロナ禍前は9.2%だったのに対し、現在は12.9%と増加していることが分かります。また、2020年は、これまでの東京一極集中の傾向に変化が生じていることが示されており、その要因として、コロナ禍の影響により、働きかたや住まいかたの多様化が加速している可能性が示唆されています。これがほんしの動向にも少なからず影響を与えているのではないかと思われます。 3 小規模化・高齢化する世帯構成 ほんしの総人口は一貫して減少していますが、一般世帯総数はおおむね増加傾向にあります。 内訳をみると、「高齢者夫婦のみ世帯」や「高齢者ひとり暮らし世帯」の増加が著しいことが分かります。また、「父親または母親とその未婚の子」のうち、子どもが成人の世帯の増加も特徴的です。 このことから、世帯構成はより小規模化、より高齢化している傾向があり、家族内の相互扶助機能に大きな影響が及ぶことが考えられます。 4 後期高齢者の急増による地域課題の増加 ほんしの人口ピラミッドをみると、85歳未満で最も人口が多いのは男女ともに70歳から74歳の年齢区分であり、この年齢階層が今後5年以内に、順次後期高齢者となる見込みです。 少子高齢化の進行は、全国的にも若年労働力の減少による経済成長の衰退、支援が必要な高齢者の増大、社会保障分野における現役世代の負担増大など、社会経済全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されていますが、ほんしにおいては一層大きな課題です。 地域における若年世帯や子育て世帯の減少は、老老介護や高齢者の孤立化、困窮化など、これまで以上に地域課題を増加させる可能性が高くなるため、地域福祉の観点から様々な支援をおこなう必要があるといえます。 5 地区別に見た高齢化率 高齢化率は各地区によって大きな差があります。高齢化率が最も低いやめ地区(西 中学校区)の28.0%に対し、矢部地区は52.7%であり、住民の過半数が高齢者となっています。 現在、65歳から74歳の前期高齢者は地域活動の担い手として活躍している世代であり、高齢化率の高さがそのまま地域課題につながる訳ではありません。 一方、認知症のリスク等が高まるのは75歳以上の後期高齢者と言われていますが、ほんしにおいては多くの地区で高齢者の中でも、後期高齢者が多いことが分かります。 6 支援が必要な人たちの状況 要介護(支援)認定者数の状況 65歳以上の要介護認定者数は微増微減を繰り返し、令和3年度は4192人となっています。ここ数年での急激な変動はありませんが、支援を要する人がいっていすう存在する状態が続いています。 介護に当たっては家族の負担も大きくなるため、関係機関が適切な情報提供等をおこない、介護者の負担軽減を図ることも必要です。 障害者手帳新規取得者の状況 障害者手帳新規取得者は平成30年度以降増加傾向となっています。しょうがい種別でみると、身体しょうがい者は平成28年度からおおむね減少傾向にあるものの、精神しょうがい者は平成28年度からの5年間で7倍になっており、急激に増加していることが分かります。 生活保護の状況 生活保護世帯数はいったん減少傾向にあったものの、平成28年以降は微増を続け、近年ではおおよそ400から410世帯で推移しています。 第4節 アンケート調査結果からみるほんしの状況 1 アンケート調査の概要 本計画の策定に際し、市民の地域福祉に関する意識や生活課題を把握し、計画策定の基礎資料とするため、アンケート調査を実施しました。 調査名称  八女市の地域福祉に関する住民アンケート 調査地域  八女市全域 調査対象  市内在住の20歳以上の市民 2000人 抽出方法  住民基本台帳から無作為抽出 調査方法  郵送による配布・回収(無記名) 調査期間  令和4年7月22日から令和4年8月8日(ただし、令和4年8月22日回収分までを集計に含む) 配布数 2000通 回収数 667通(うち有効回答数667通) 有効回答率 33.4% 2 八女市に住み続けたいか アンケート回答者の72.0%が、八女市に住み続けたいと回答しています。年齢別にみると、「住み続けたい」と回答した人の割合は年齢階層が上がるにしたがっておおむね高くなっています。「住み続けたくない」と回答した人の割合は20歳代が最も高く、13.9%となっています。 八女市に住み続けたくないと回答した人に、その理由をたずねたところ、「買い物や交通の便が悪いから」と回答した人の割合が最も高く、62.2%となっています。次いで、「地域の慣習・文化になじめないから」(37.8%)、「楽しめる場所がないから」(29.7%)と続いています。 ほかにも、「近所づきあいがよくないから」(16.2%)、「福祉・医療などのサービスが整っていないから」(13.5%)などといった回答があります。 3 八女市民の福祉に関する関心 アンケート回答者の82.0%が、福祉に関心があると回答しています。また、73.0%が、福祉は行政と住民がきょうどうし地域で支えあうべきだと回答しています。 福祉を必要とする人に対して、「家族や親戚が面倒をみればよい」と回答した市民はわずか2.1%と極めて少数であり、「行政の責任でおこなうべき」との回答も20.2%に留まっています。 行政と住民が手を取りあう福祉のありかたを支持する市民の割合は、30歳未満の比較的若い世代は61.1%と比較的低くなっているものの、30歳代になると79.6%を占め、全年齢階層の中で最も高くなっています。 4 近所づきあいの程度 親しく近所づきあいをしている市民の割合は49.0%ですが、年齢階層によって傾向が異なります。60歳未満では親しく近所づきあいをしている市民の割合は30%前後ですが、60歳以上では50%から60%台となっています。 近所づきあいをしない理由として、「かかわる機会や時間がないから」、「家族にまかせているから」と回答した人の割合は45.3%となっています。 5 「支援して欲しい人」と「支援したい人」の存在 市民の多くは、それぞれ何らかの生活上の困りごとを抱えています。その内容は多岐に渡りますが、それら地域に存在する「支援して欲しい」というニーズに対して、「支援したい」と考える市民もまた存在します。 「支援して欲しい」と考える市民を、「支援したい」という意思を有する市民でどの程度カバーできるのか、そのバランスを分析することで、ほんしにおける「地域の力」を推測しました。 設問に盛り込まれた12項目の「困りごと」のうち10項目について、「支援したい」と考える人が「支援して欲しい」と考える人を上回っており、ほんしにある生活課題の多くは、市民相互の力である程度カバーできる可能性が高いことが分かります。  6 災害に対する備え 近年、全国各地で自然災害が頻発しています。ほんしにおける災害時の避難場所の認知度は83.2%となっており、避難場所の認知が浸透していることが分かります。特に、60歳代では、ほとんどの人が「知っている」と回答しています。 地震や台風などの災害時の備えとして重要だと思うこととして、「自分や同居する家族の避難方法の確認」、「災害時の緊急の連絡方法を家族や知り合い同士で話しておくこと」に次いで、「日ごろからの隣近所とのあいさつ、こえかけやつきあい」(41.5%)が挙げられており、災害に備えて日頃から地域内での連携を図る重要性を市民が理解していることが分かります。  7 ほんしにおける相談のしやすさ あなた自身やご家族が、生活上の困りごとを抱えた時、家族以外で、どこ(誰)に相談しますかと尋ねたところ、57.1%の市民が「市役所などの行政機関」と回答しており、行政機関が市民から身近な相談先として認識されていることが分かります。 また、「相談するところがない」もしくは「相談はしない」と回答した人の割合は、男性が11.2%であるのに対して女性は7.3%と、性別による差が見受けられます。さらに年齢別にみると20歳代が16.6%、30歳代が10.2%と、若い世代、それから高齢世代のうちでも70から74歳の人が相談しない、できない傾向にあることが分かります。 第5節 社会資源の状況 1 福祉サービス等に関わる施設・事業所の状況 ほんしに所在する高齢者福祉・介護分野、児童福祉・子育て支援分野、人権分野、しょうがい者福祉分野の福祉サービスに関わる施設・事業所の状況は以下のとおりです。 軽費老人ホーム(ケアハウス) 1 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 8 介護老人保健施設(老人保健施設) 3 介護医療院 1 訪問介護(ホームヘルプ)事業所 19 訪問看護事業所 9 訪問リハビリテーション事業所 3 通所介護(デイサービス)事業所 23 通所リハビリテーション(デイケア)事業所 7 短期入所生活介護事業所 8 短期入所療養介護事業所 3 特定施設入居者生活介護事業所 2 小規模多機能型居宅介護事業所 9 看護小規模多機能型居宅介護事業所 1 地域密着型通所介護事業所 11 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)事業所 14 認知症対応通所介護事業所 2 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 2 居宅介護支援事業所 23 地域包括支援センター 6 認可保育所(園) 20 幼稚園 1 認定こども園 4 届出保育施設 3 小学校 13 中学校 8 義務教育学校 2 ちゅうこう一貫校 2 学童保育所 17 子育て支援拠点施設 3 児童発達支援事業所 5 放課後等デイサービス事業所 9 保育所等訪問支援事業所 1 障害児相談支援事業所 7 隣保館 2 施設入所支援施設 5 共同生活援助(グループホーム)事業所 21 居宅介護事業所 15 重度訪問介護事業所 14 同行援護事業所 7 行動援護事業所 1 生活介護事業所 12 自立訓練(生活訓練)事業所 2 就労移行支援事業所 1 就労継続支援(A型)事業所 4 就労継続支援(B型)事業所 13 短期入所事業所 8 相談支援事業所 8 地域活動支援センター 1 障がい者基幹相談支援センター 1 2 福祉活動に関する人的資源の状況 【民生委員児童委員】 民生委員児童委員は、民生委員法に基づき市民の中から選ばれ、県知事の推薦を受けて厚生労働大臣が委嘱します。任期は3年で、児童福祉法に基づき児童委員も兼務しているので、民生委員児童委員と呼びます。そのうち、児童福祉問題を専門に担当する主任児童委員がいます。 主な職務は以下のとおりです。 ・市民の生活状況を把握し、要援護者の自立への相談・助言・援助をおこなうこと ・要援護者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報提供、その他援助をおこなうこと ・社会福祉事業者または社会福祉活動者と密接に連携し、その事業または活動を支援すること ・福祉事務所やその他の関係行政機関の業務に協力すること ほんしでは、令和4年10月1日現在、213人の民生委員児童委員(うち主任児童委員が26人)が活動しています。また、民生委員児童委員で組織する八女市民生委員児童委員連絡協議会が、民生委員児童委員活動を支えています。 【福祉委員・見守り連絡員】 民生委員児童委員の中には、1人で複数の行政区や世帯数が多い地域を担当している人もいるため、地域福祉活動への協力者として福祉委員を置いている地域もあります。福祉委員は民生委員児童委員や行政区長を補佐し、福祉問題の早期発見を目的とした日常的な訪問や地域に必要とされる福祉活動への協力などを通じ、見守り活動をおこないます。行政区からの推薦により社会福祉協議会会長が委嘱しています。 見守り連絡員は、隣近所で毎日のように顔を合わせるかたにお願いし、普段の生活の中でひとり暮らし高齢者等が数日間不在にしているといった情報を必要に応じて、民生委員児童委員や行政区長に連絡します。 【ボランティア団体】 ほんしでは、スポーツ、文化芸術、環境、まちづくり等の分野でボランティア団体が活動しています。社会福祉協議会と連携を図りながら活動を進めています。 第6節 第2次八女市地域福祉計画・地域福祉活動計画ふりかえり 第2次八女市地域福祉計画・地域福祉活動計画(平成30年度から令和4年度)の進捗状況について、年度ごとに地域福祉推進委員会等を開催し確認をおこないました。八女市と八女市社会福祉協議会がおこなった主な取り組みは次のとおりです。 基本目標1 相談しやすい雰囲気づくり (1)支援の情報をわかりやすく伝える (2)身近で気軽な相談支援をすすめる (3)相談支援の専門性や利便性を向上させる 広報の充実 ・広報やめやホームページ、防災ラジオ、LINEなど複数の媒体による情報発信 ・やめ社協だよりをねん11回発行し、社会福祉協議会の事業の情報だけでなく、地域の福祉問題や地域でおこなわれている福祉活動などの情報を掲載 ・社会福祉協議会においては広報編集委員会を設置し、多くの人に読んでもらえるように、音声コードの掲載や文字、文章など、しょうがいがある人に配慮した紙面づくりを実施 ・社会福祉協議会事業パンフレットの見直し修正をおこない、市民や関係機関に社会福祉協議会の事業組織や事業内容などを発信し、地域福祉活動への参加を推進 地域人材との連携 ・毎月1回開催される民生委員児童委員連絡協議会校区会長会及び校区定例会へ参加し意見交換をおこない、福祉問題を抱える高齢者の実態把握に努め、社会福祉協議会や関係機関へのつなぎ、支援後の報告をおこなうなど、協力関係を強化 利用しやすい相談窓口の周知と体制づくり ・民生委員児童委員が地域の身近な相談役として活動できるよう広報やホームページ等で活動について周知 ・コロナ禍における相談体制の在りかたを検討 総合相談、地域への訪問相談 ・平成30年度から相談支援包括化推進員(以下「まるごとサポーター」という。)を配置して、訪問支援を徹底し支援につながりにくい福祉問題の把握に努め、生活支援コーディネーターとの連携による問題解決に向けた事業を展開 研修機会の確保 ・職員の専門性向上を目的とした積極的な研修機会の確保 ・コロナ禍におけるオンライン研修の活用 今後の方向性 住民参加による福祉活動を推進していくためには、住民にとって分かりやすい情報提供が重要なので、引き続き、広報やホームページなどによる情報発信に努めていきます。 身近で気軽な相談支援を進めるためには、民生委員児童委員の日々の見守り活動や、まるごとサポーター、生活支援コーディネーターの積極的な訪問支援が不可欠であり、今後も市役所や社会福祉協議会が身近な相談機関となれるよう連携を強化していきます。 また、職員の専門性を向上させるためには、研修等を通して日々研鑽していく必要があります。コロナ禍においては、研修機会が減少したこともありましたが、オンライン研修の活用により多くの職員が効率的に研修に参加できるというメリットもあったので、今後は対面研修とオンライン研修の両方を活用しながら職員の専門性をより向上させます。 基本目標2 連携した支援ができる体制づくり (1)福祉サービスの量や質の充実を図る (2)連携しながら相談支援をすすめる (3)連携した支援体制の充実を図る 公共交通等の検討 ・地域公共交通計画の策定において福祉有償運送について検討 ・予約型乗合タクシーの利用者増加を目的とした広報周知活動(運転免許自主返納時の利用案内、地域の集会での広報) ・八女市の地域福祉に関する住民アンケート調査の結果、交通などの便利さについて、「満足」または「まあまあ満足」と回答した市民の割合は、平成28年度は17.9%だったが、令和4年度は14.5%へ減少 地域課題把握と地域支援 ・生活支援体制整備事業における生活支援コーディネーターを配置し、地域住民の生活課題やニーズの把握に努め、市内の店舗の協力を得て、ボランティアによる買い物代行支援など、課題解決のための具体的な取り組みを実施 ・生活支援サービス「お助けサポート事業」を立ち上げ、生活支援ボランティアの育成をおこない、不燃物のごみ出しや蛍光灯の取り換え、布団乾燥など、生活上の困りごとに対してボランティアによる生活支援サービスを実施 ・高齢者やしょうがい者などで、自分で可燃物のごみ出しができない世帯を対象としたごみ出しサポート事業を実施 権利擁護の充実 ・日常生活自立支援事業の利用者増加にともない、事業の担い手不足の解消を図るために、毎年、生活支援員養成講座を開催 ・認知症、知的しょうがい、精神しょうがいを抱える人以外の身体しょうがいや難病などを抱える人で、日常的な金銭管理が必要な人には「やめあんしんサポート事業」を実施 ・れいわがんねんどから社会福祉協議会が法人として成年後見人等になり、財産管理や身上保護などの後見業務を実施 ・令和2年度から社会福祉協議会が居住支援法人の認可を受け、住まい探しの支援や住み続けるために必要なサービスの提供を実施 各相談支援窓口の連携 ・各分野の支援者が連携するための相談支援事業所ネットワーク会議を開催 福祉総合相談と連携 ・地域共生社会の実現に向け、地域包括支援センターが主催する小地域ケア会議や日常生活圏域ケア会議に参加し、高齢者の実態把握をはじめ、地域課題の集約をおこない、相談支援を実施 ・通常の生活福祉資金に加え、コロナ禍により生活が困窮された世帯に対し特例貸付の相談対応をおこなうとともに、生活困窮状態が継続する世帯については、関係機関へのつなぎやフードバンクなどによる支援を実施 公的な福祉協議会の機能強化と横断的連携 ・自立支援庁内連絡会議や地域包括ケア推進支援会議、要保護児童対策地域協議会、しょうがい者等自立支援協議会など公的な福祉に関する会議を実施し、各ネットワークを活かした分野横断的に連携するための体制を整備 ・コロナ禍による対面会議の減少に対応するため、オンライン会議や密な電話連絡など連携体制を整備 地域を基盤とした福祉活動の支援体制 ・八女市社会福祉法人連絡会ライフレスキュー部会と連携して、生活困窮者への生活支援として、ごみ屋敷の清掃支援などを実施 ・ひきこもり支援や生活困窮世帯への支援を通して、支援につながりにくい地域住民の複雑化・複合化した課題や支援ニーズに対応する包括的支援体制を構築 今後の方向性 高齢者やしょうがい者において、交通手段の確保は重要な課題であるため、予約型乗合タクシーをはじめ、福祉有償運送等、様々な地域公共交通のありかたについて検討していきます。 地域介護予防活動を重点項目として掲げ、ふれあいサロンなどに参加していない人の実態把握やフレイルチェック事業を八女市や関係機関と連携して推進していきます。 複雑化・複合化した相談の増加にともない、まるごとサポーター及び生活支援コーディネーター、市担当課、地域包括支援センターなど、関係機関と連携し、包括的支援体制を強化します。 成年後見制度の利用促進を図るためには、八女市や関係機関と連携し、市民参加型による市民後見人の人材育成が必要であるため、今後、市民後見人養成講座の開催について検討します。 緊急の支援が必要な場合にも対応できるよう、八女市社会福祉法人連絡会と平常時から連携協議をおこないます。 基本目標3 絆を深め孤立化を防ぐ地域づくり (1)隣近所等での身近な助けあいをすすめる (2)地域での組織的な支援をすすめる (3)災害時の避難に備える 啓発と福祉組織の支援 ・やめ社協だよりのねん11回発行とホームページをリニューアルして、見やすいページづくりや地域の取り組みなど、新しい情報の更新を随時実施 ・福祉委員未設置地区では、行政区長や民生委員児童委員へ継続的に働きかけ設置推進をおこなうとともに、コロナ禍で対面による研修が難しい状況を踏まえ、「福祉委員活動の手引き」を作成して、福祉委員活動の周知と地域の福祉問題への気づきを促し、福祉委員活動を推進 小地域福祉活動の推進 ・福祉問題の早期発見、福祉情報共有の場である福祉ネットワーク推進委員会設置について、行政区長や民生委員児童委員に対して継続的な働きかけを実施 買い物支援への協力と理解普及 ・生活支援コーディネーターの地域ニーズ調査をもとにした買い物支援の体制整備 ・地域の民間事業者の理解と協力による買い物支援体制整備の実現 移動・外出支援の周知と充実 ・八女市から委託を受け、予約型乗合タクシーの利用登録手続きやオペレーター業務を実施 生活困窮者支援事業の拡充 ・市民への食品募集やフードドライブの推進を図り、食品や日用品の確保に努め、コロナ禍により急増する生活困窮世帯に提供 ・関係機関や企業と連携し、子ども食堂の運営支援をはじめ、食材や容器などの物的支援を実施 ・子ども食堂への支援を通して、子どものいる生活困窮世帯へ子ども宅食を実施 ・ひきこもり支援や生活困窮世帯への支援施設として、福祉生活支援室「ほっと館やめ」を2箇所設置 防災訓練、避難行動要支援者支援事業 ・自主防災組織による積極的な防災訓練実施に向けた支援 ・防災訓練等が制限されたコロナ禍においては、感染症に配慮した災害への備えに関するチラシを全戸配布するなど可能な範囲での啓発活動を実施 地域と協力した情報啓発 ・自主防災組織活動を活性化させるため、行政区と連携し、防災や減災に向けた情報発信や啓発を実施 ・地域防災力向上のために自主防災組織の結成を推進(令和3年度末時点の自主防災組織率98.9%) 災害ボランティアセンター ・災害時対応の手引きの見直しを実施 ・災害ボランティア事前登録制の運用開始 今後の方向性 身近な隣近所での支えあいが地域福祉の基盤です。今後も、一人ひとりが支えあうための仕組みづくりに取り組んでいきます。 福祉委員設置地区については、福祉委員が個別課題を抱え込まないよう、継続的に関わりを持ち、コロナ禍での工夫した見守り方法など、研修会を開催しフォローアップをおこないます。あわせて、福祉委員同士での意見交換や情報共有をおこない、福祉委員が活動しやすい環境整備をおこないます。 各地域の福祉ネットワーク推進委員会に参加し、地域住民との顔の見える関係を築き、地域課題の共有や課題解決に向けた活動をおこないます。 今後もコロナ禍により増え続けると予想される生活困窮世帯への支援として、福祉生活支援室「ほっと館やめ」の機能を拡充し、フードバンク事業を通して関係機関と連携しながら、制度の狭間に置かれている人の相談支援を充実します。 市内のほとんどの地域で自主防災組織が結成されたので、今後はより地域の実情に即した防災を実現するため、自主防災組織における地区防災計画の策定を支援していきます。 コロナ禍において、災害ボランティア支援の募集範囲や内容が変更されたことから、災害時対応の手引きの見直しや災害ボランティア事前登録を推進します。   基本目標4 社会参加の意識づくり (1)人権や福祉の制度、地域福祉について学ぶ (2)気軽に参加できる交流の場を広めていく (3)地域の活動や行事へ参加しやすい工夫をする (4)ボランティア活動に参加しやすくする 対象者に合わせた学ぶ機会の提供 ・子育て講座や認知症サポーター養成講座を開催(コロナ禍においては開催回数を制限) ・市民を対象に、福祉のつどいや暮らしと福祉の講座を各エリアの福祉課題や地域の実情に即した内容で開催 ・市内小学校3年生への福祉教育教材「ともに生きる」の配布及び市内小学校などでの車いす体験や手話体験などの開催を通して、福祉教育を推進 健康維持・増進 ・特定けんしんの受診率向上のため受診勧奨通知の発送や訪問勧奨の実施 ・コロナ禍の影響が大きかった令和2年度においては受診率が下がったが、健康ポイント事業の拡充やAIを活用した受診勧奨等に取り組み、令和3年度は受診率回復を実現 地域活動の啓発・育成 ・地域のリーダー育成を目的とし、未来づくり協議会の主催により「地域づくり研修会」「先進地視察研修」「市執行部との意見交換」を実施(コロナ禍においては研修会等を中止や縮小) 交流の場を通した地域課題の把握と人材育成 ・ふれあいサロンを通じた地域課題や支援ニーズの把握に努め、生活支援コーディネーターと社会福祉法人の連携による買い物支援など、具体的な地域課題解決のための支援を実施 ・不登校・ひきこもり親(家族)の会定例会に参加し、本人や世帯の抱える生活課題の実態把握をおこない、訪問支援や参加支援のための具体的なメニューづくりを実施 ・ふれあいサロン支援者講座、介護講座、ひきこもり支援講演会などを開催し、地域課題の把握と課題解決のための担い手等を育成 講座開催 ・生活支援サービス「お助けサポート事業」における生活支援ボランティア養成講座を実施 ・高齢者の情報格差を解消するために、市担当課と社会福祉協議会が連携しながら市全域でシニアデジタル講座を開催 今後の方向性 社会参加の意識づくりのためには、福祉について学ぶ機会や地域の活動に参加しやすいような仕組みづくりが必要です。 今後も、継続した福祉教育の推進と社会のデジタル化にともなうデジタル格差解消を目的とした講座をおこなうなど、対象者に応じた講座を開催します。 ふれあいサロンが公民館など、歩いていける距離にない地域については、複数のふれあいサロン設置の検討をおこない、交流の場、介護予防の場としての継続的な支援をおこないます。 ひとりでも多くの市民がボランティアに参加できるよう、環境づくりやSNSを活用した需給調整など、ボランティアセンターの活性化を図ります。