第1章 計画の策定に当たって 第1節 計画策定の趣旨 1 計画策定の背景 八女市では、平成30年3月に八女市社会福祉協議会と一体となって「第2次八女市地域福祉計画・地域福祉活動計画」(以下「第2次計画」という。)を策定し、「心豊かに、共に支えあい、安心して健やかに暮らせる、優しいまち やめ」を基本理念に地域福祉の推進に取り組んできました。 しかし、地域福祉を取り巻く環境はさらに厳しさを増してきています。国立社会保障・人口問題研究所によると、ほんしの人口は今後も一貫して減少する見込みです。少子高齢・人口減少社会の進行に加え、暮らしかたや働きかた、価値観の多様化や社会情勢の変化などにより、個人や世帯が抱える生活課題は複雑化・複合化を見せています。子ども・しょうがい・高齢・生活困窮の問題など、複数の問題が重なりあう生活課題を解決するためには、これまで以上に制度や分野を超えた支援が必要です。 また、地域のつながりが希薄化し、住民同士の支えあう力が低下していくことも懸念されます。特に、ここ数年においては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、いわゆる「新しい生活様式」が定着したことで、人間関係の希薄化を招いています。 このように変化の激しい社会情勢の中で、国の方針として、誰もが役割を持ち、活躍できる「地域共生社会」の実現が推進されています。「地域共生社会」とは、地域福祉推進の理念を具体化したもので、制度・分野ごとの『縦割り』や「支えて」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が 『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会のことです。 そこでほんしでは、第2次計画の策定以降に生じた様々な社会変化や国の方針を踏まえ、「第3次八女市地域福祉計画・地域福祉活動計画 第1次八女市再犯防止推進計画」(以下「本計画」という。)を策定しました。 2 本計画の位置づけ 地域福祉計画 地域福祉計画は、社会福祉法第107条に基づき市町村が策定する行政計画です。市民と行政、福祉事業者等が一体となって、地域福祉の推進を目的に、「理念」と「仕組み」を定めます。 なお、「第3次八女市地域福祉計画」は、「第5次八女市総合計画」を上位計画としており、さらに、ほんしにおける各福祉分野の総合的な計画として位置づけられます。そのため、それぞれの計画と整合性を図り、連携しながら策定しました。 地域福祉活動計画  地域福祉活動計画は、社会福祉法第109条の規定に基づき社会福祉協議会が中心となって策定する民間の行動計画です。「すべての住民」、「地域で福祉活動を行う者」、「福祉事業を経営する者」が相互に協力し、地域福祉の推進を目的として定める活動・行動計画です。 地域福祉計画と地域福祉活動計画の一体的策定 地域福祉計画と地域福祉活動計画の策定・実行に当たっては、両計画自体が豊かで住みやすい地域社会づくりにつながるものとして、住民参画と活動団体相互のきょうどうが両計画ともに重視されています。したがって、両計画の内容を一部共有するなど、相互に連携を図ることが必要であり、「住民参画」と「福祉の総合化」の推進を図るため、本計画においても第2次計画同様、両計画の整合性を保ちながら、一体的に策定しました。 再犯防止推進計画の内包 再犯防止推進計画は、「再犯の防止等の推進に関する法律」第8条第1項に基づく地方再犯防止推進計画であり、「保健医療、福祉等の支援を必要とする犯罪をした者等への社会復帰支援の在りかた」に対応した計画です。 犯罪を繰り返す人には、様々な背景があり、福祉的な問題を抱えている人もいます。そのようなかたが社会復帰して地域で生活していくためには、支援を必要とするケースもあります。 そこで、ほんしでは誰もが安心していきいきと暮らしていける地域共生社会の実現に向け、再犯防止推進計画を「地域福祉計画・地域福祉活動計画」に内包する形で策定しました。 策定の期間 本計画の計画期間は令和5年度から令和9年度までの5年間とします。ただし、社会情勢や市民ニーズの変化などに対応するため、必要に応じて計画の見直しを行います。 SDGズの視点 持続可能なまちづくりに向けた行動目標としてSDGズ(持続可能な開発目標)の理念を取り入れ、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組みます。 3 本計画における「地域」のとらえかた 本計画では、市民に身近な隣近所や行政区等の地域から市全域まで、重層的な支えあいの仕組みづくりに取り組みます。 4 地域福祉推進に大切な4つの助けあいの視点と役割 本計画では、住民一人ひとりの役割や、地域において取り組むこと、行政機関等がどのような支援を行っていくのかなどについてできるだけ明確にしたうえで、「自助」「互助」「共助」「こうじょ」の4つの視点で整理しています。 地域福祉活動を進めるには、公的サービスの整備のみならず、住民一人ひとりが自分自身や家族と協力し解決すること(自助)や、近隣の身近な人がお互いに助けあい、支えあうこと(互助)、地域の事業所も含めた連携体制の枠組みの中でそれぞれの役割や特性を活かして活動をしていくこと(共助)も大切です。 ほんしは、公的な制度による福祉サービスの整備や、自助・互助・共助を支援していくこと(こうじょ)を通じ、地域ときょうどうしながら地域福祉を進めていきます。 第2節 計画の策定方法と住民参画 本計画は、地域福祉の理念の実現に向けて、地域住民、地域活動・地域福祉活動を行う人たち、地域の事業者等の参画を得て策定を行いました。